150807-16マッターホルン

 つづきです。

8月12日(滞在5日目)
今日もいい天気。午前中はアタックに備えて休み、
午後からマッターホルンの最前線、ヘルンリ小屋へ向けてスタートです。



途中、マッターホルンがどーんと突き上げます。このかっこよさときたら、
もう、見てのとおりです。



この威圧感、すごいです。これを登るのか〜(ため息)



ヘルンリ小屋までは快適な登山道です。
途中、この日登頂に成功した日本人の方から色々情報をいただきました。
ありがとうございました。



2時間くらいでヘルンリ小屋到着。登頂150周年の今年に合わせ新築され
ました。綺麗です。



小屋から見るマッターホルンはでかいです。



小屋の内部は新築の香り♪各人にベットが割り当てられ、日本の山小屋
のように寿司詰めになることはないようです。
浜松のクライマーの方と同室になり、色々お話を伺うことができました。
ありがとうございました。



小屋からオーバーガーベルホルン4063m、ツィナールロートホルン4221m
を望みます。絶景です。


夕方、受付前はたくさんのガイドさんがごったがえす中、自分のガイドは自分で探します。
夕食は今回のガイド、Nils Staubさんとともにしました。
ガイド歴4年目の若いガイドさんで、昨年はマッターホルンに6回登頂、うち1回は北壁!
色々指示や情報をいただきました。
曰く
「マッターホルンは登攀というより岩稜歩きのセクションが長い」
「明日は午後天気が崩れる。急いで登るぞ」
「荷物はなるべく軽くせよ。ピッケルも置いていく(荷物、衣類は全部チェックしてもらった)」
「ソルベイ小屋まで取付から2時間30分かかったらその場で下ろす」
「クランポンは登山靴にしっかり合ってるな?」
う〜ん、明日はいつもに増してスピード勝負になりそう。大丈夫かな〜


8月13日(滞在6日)
アタック当日です。3:30起床、4:00から朝食ですが、その時点で
スタートできる状態でいるよう指示を受けました。



食事もそこそこに、すぐ出発準備です。
ガイドには出発の順番があり、ルートを熟知している地元ガイドは
前の方になります。Nilsさんはかなり前の方でした。4:15スタート!


取付の最初のフィックスロープで順番待ち。
4:25出発!さぁ、駆け上がるぞ!(気合だけで足ついていきませんでしたけど)


暗闇の中、右に左に言われるがまま、ガイドさんにコンテでついていきます。
休憩はほぼありません。気温は氷点下なのに、衣類はわずか半袖シャツと
フリースの2枚だけ。下はズボン1枚。それでも全く寒さは感じませんでした。
というより暑い・・・
前のパーティーに追いつくと、岩場の合間を縫って容赦なく追い越しをかけていきます。
途中の休憩はグローブ調整(素手にした)の2分だけ。
夜が明けたら、モズレイスラブの下方に来ていました。


山頂はしっかり見えています。天候もまだ安定しています。
しかし午後まで登頂にかかってしまっては、5日前の事故の二の舞です。
できる限り早く登ります。


6:07ソルベイ小屋到着。取付から1時間42分です。
Nilsさんは「グッド」のひとこと。休みもせず上モズレイスラブ
の岩場に取付きました。


上下モズレイスラブはスタカットでしたが、他はほぼコンテのまま
肩(ショルダー)まで来ました。ここでアイゼン装着です。
やっと座って5分くらい休めました。


ショルダーからはフィックスロープが続きます。
見た目元蕕らいの岩場には全てフィックスがついているので
簡単で、がしがし登ります。
Nilsさんはスタカットを多用し始めました。
最後の北壁側雪面では完全に息が上がってしまいスピードダウンしてしまいました。
4400mは当たり前ですが空気薄いですね。
でもNilsさんからは「ゆっくりでいいから止まるな」


7:40。夢にまで見た山頂4478mに到着!
なんとブロッケンがお出迎えでした。
取付から3時間15分。予想より大分早く着きました。



Nilsさん、後続パーティーとがっちり握手!
山頂は狭いので、ひとしきり景色を楽しんだら有名なマリア像まで
下りて5分くらい休憩しました。
さあ、今日の本番、下山です。下山の方が圧倒的に事故が多いのです。


下りの最初は北壁の傾斜35°程度の雪面です。ところどころ岩が出てます。
ピッケルがあれば何てことのない斜面ですが、今回は軽量化のためなく、
腐った雪を両足で慎重におります。Nilsさんは急かします。
一回少し足を取られかけました。特に問題ありませんでしたが、
後ろから確保されているとはいえ転倒は致命的なので要注意です。


フィックスロープ帯に入ってからは、登ってくるパーティーとの支点の取り合いです。
Nilsさんはロアーダウンで下ろしてくれますが、下からは多数のクライマー。
それでも遠慮せず「おりろ」とのことでした。ごちゃごちゃ戦争状態です。
このあたり、日本との文化(?)の差を感じました。



ロアーダウンは懸垂下降と違って自分で速度調整できないので、なかなか怖いです。



Nilsさんは颯爽とクライムダウンというよりロープゴボウ下りしてきます。



高度感のあるところも随所に出てきて(というよりずっと高度感あり)
だんだん麻痺してきます。慣れた頃が危ないです。



アイゼンを脱いでからはひたすらクライムダウンでした。
この下モズレイスラブ(卦蕕らい?)も、
ロアーダウンの支点で込み合うとみるや、左にトラバース、
あっという間のクライムダウン。



山頂に雲がかかり始めています。



ヘルンリ小屋がはっきり見えてきました。疲れたのでここで一服。
まだまだ先は長いです。



こんな感じで下ろしてくれることは後半ほぼありませんでした。
ここももちろんクライムダウン。
信頼してもらえたのか、急いでいたからなのか、そもそも
ロアーダウンの必要ないところなのか。(たしかに特に必要なかったですが・・・)
途中、後ろ向きにゆっくり降りたら、
「遅い。前向いてスピーディにおりろ」と怒られました。
下りでも容赦なく急かします。



10:40。無事取付きに戻ってきました。あ〜よかった。
最後は足疲れてヘロヘロです。山頂はもうガスの中。
下山は2時間55分。やはり登りに近い時間がかかりました。



登頂証明書とバッジを受け取り、先に下りるNilsさんと
がっちり握手して別れた後、ゆっくり登山道を下りました。
この後猛烈な空腹に襲われ、街に戻ってからマクドナルドめがけて
一直線となりました。アタック中に食べたのは薄めたジュース500mlと
朝バナナ1本だから、300kcalくらい?

疲れた〜 でも、とても充実した、忘れらない1日となりました。


8月14日(滞在7日目)
登頂予備日でしたが、朝から天気が崩れていてハイキングする気も起きず、
観光でした。


今回、素晴らしいガイドや現地のT先輩をはじめとした皆様のおかげで、
無事マッターホルンを登頂できたほか、ブライトホルンやハイキングなどを
楽しむことができました。ありがとうございました。

今回感じたのは、ヨーロッパの夏山の気象は思った以上に激しいということです。
異常気象だったせいもあると思いますが、一度雪が降るとかなり積もりますし、
好天でも午後突然天気が崩れます。直前の予報はある程度正確なようなので、
現地での頻繁な情報収集が必要です。
基本は好天の日の夜明け前にスタートして午前中に下りてくる、またはしっかりした
ビバーク装備を持って退路や避難場所を考えながら登る必要があるでしょう。
時間次第では潔く引き返す勇気が必要です。

今回はガイド山行で終始セカンドでしたが、クライマーたるもの、
いつかはリードして登りたいものです。
マッターホルンは技術的には卦蘢度(多くは教薜焚爾隆篶琶發)で
難しくないので、リードする際に特に問題となるのはソルベイ小屋までの
ルートファインディングと、体力・スピードでしょう。
今回は腰痛明けで不十分な体調の中何とか登りましたが、次もし行くことがあったら、
トレーニング積んで、万全な体調で、余裕を持ってリードしたいと思います。


P.S.
今回はツアーでなく、ガイドなど自分で手配して行きました。
海外旅行にある程度慣れているか、英語が多少話せれば、
ツアーでなくても何とかなる気がしました。
スイスの交通等諸々のシステムは日本並に素晴らしいです。
ツアーの方が登頂に向けたサポートは厚いのでしょうけれども、
ある程度日本の冬・春の雪山・岩山の経験のあるクライマーなら、
高所順応さえ失敗しなければ大丈夫かなと思いました。

日本人の休みはヨーロッパ人のそれと比べかなり短いので
(Nilsさんにも、ツェルマット来てわずか5日でマッターホルン登るのかと
驚かれてしまった)、なおのこと高所順応は重要かと思います。
特に高所に弱い方はできれば、直前に富士山など繰り返し
登っておいた方が良いのかなと思います。
私は富士山に登らないどころか、山行さえできていませんでしたので
説得力がありませんけれど・・・
高所は普段強力な人も一瞬にして弱くしてしまいます。
普段強いT先輩が苦戦する姿を見て、痛感しました。


(あくまでも河合の私見ですので、行かれる際はご自身の判断でお願いします)

おわり
記:河合














 


コメント
はじめまして。
もしや、と言いますか確実だと思うのですが、
同日にマッターホルンに登っていたものです。
(ソルベイの写真の黄緑(?)の男です)

ブライトホルンも前後で登っていたりして、
たぶんそちらのものと思われる写真もありますし、
せっかくですのでシェアしませんか?
メアド作ってみましたので、よかったらご連絡ください。
  • やま
  • 2015/08/30 1:38 AM
もしかして、ブライトホルンハーフトラバースの時、我々のすぐ後ろにいらした方ですか?(その時も黄色い服着ていらっしゃいましたか?)うちのパーティ遅くご迷惑をおかけしました。
マッターホルンも、確か途中で追い抜いていただいたかと思います。登頂時お会いしたか失念してしまいましたが、あの時間にソルベイ小屋にいらしたのなら、問題なく登頂されたことと思います。
あまりやま様が写っている写真はありませんでしたが、両日の写真、なるべく早くアドレスに送ります!
以上、取り急ぎ。
  • かわい
  • 2015/08/30 9:30 PM
メールありがとうございました_(._.)_
登頂当日や前後の話など、当事者にしかできない話ができて大変楽しかったです。
またどこか山の中でお会いしたらよろしくお願いします(^_^)
  • やま
  • 2015/09/05 1:48 AM
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